補陀山 常楽寺(津島市天王通り5丁目10)、宗派は曹洞宗。
元中9(1392)年の創建と伝えられる古刹で、代々尾張国津島牛頭天王社(津島神社)神主を務めた氷室家の菩提寺として有名だ。
「特に歌人でもあった氷室長翁の墓は、津島市指定文化財になっています。正面向かって右の、五輪塔式の墓石が、長翁のお墓です」
住職は、そう説明された。(指定日:昭和42年9月16日)
氷室長翁は、天明4(1784)年生まれ。
津島牛頭天王社神主であり、桂園派門下の歌人。
義子・泰長に神職を譲るまでは豊長(とよなが/とよおさ)を名乗り、隠居して長翁(ながとし)と号した。
また、椿園という歌号も持つ。
「さくらはな咲てちるまの暫時はうきよ也けりみよしのゝ山」
という名歌を遺している。
「文久3(1863)年没、とありますね」
御住職は、過去帳を紐解いてくれた。
本尊は、如意輪観音坐像
千手観世音菩薩立像と、三十三観音像
尾張西国二十一番札所の扁額
御本尊の奥、開山堂には名僧が祀られている。
中央は常楽寺初代の太初継覚和尚、向かって右手は道元禅師(高祖)で、左手は瑩山禅師(太祖)。
御住職は「曹洞宗にとって、生みの親と、育ての親」とお話しされた。
「先代の住職、私の父親は絵心があって、色々な仏画を描き遺したんですよ」
「捐舘」は男性、「掩粧」は女性。それぞれ高貴な身分の方の墓銘として刻まれる言葉だそう。
「捐舘」とは、屋敷を捨て去る。
「掩粧」とは、化粧をやめる。との意だという。
常楽寺は、『津島霊場巡り』の霊場寺院の一つなので、津島を訪ねる際は、寄ってみては如何だろう。
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中元明孝 (日曜日, 07 2月 2021)
捐館、掩粧のお墓の件、大変興味深く、勉強になりました‼️